vol.2 日本とルーツとわたし
mdkおしゃべり
昔パリまでモデル事務所を探しに行ったことがります。
当時、私は22歳。西洋の文化に憧れていました。
モデル仲間から、パリへ事務所探しに行ってるという話を聞き、「私もやってみたい!」と思い、真似しました。海外へ一人旅をしてみたかったので、それと合わせて事務所巡りをしようと計画を立てました。
アポも取らず突撃したんですが、いくつかのモデル事務所が見てくれて何箇所か回りました。結果はダメダメで、どこかの事務所のマネージャーに「あなたの写真には、あなたが写っていない」と言われました。
ブレブレの写真や顔がよく見えない写真が多かったので、物理的に姿形が分かるように写ってない。という意味もあったと思うんですが、それだけではない意味に私は聞こえました。でも、その真意は当時の私のオツムでは理解できませんでした。
今から考えると、結果は行く前から分かっていたようなものなんですが、やってみなきゃ気が済まない性分みたいですね。あはは。
モデル事務所に断られ続け、パリのおしゃれな街で、心が折れ撃沈していた私は、ちびまる子ちゃんの「ガーン...!!!」の時のような縦線が顔にいっぱい入っていたことでしょう。
何日かモデル事務所を回った後、事前に友達からパリに住んでいる知り合いを紹介してもらい知り合ったMさんに、話を聞いてもらいました。
だんだん辛くなってきて、おいおい泣いている私に、「よくやったね、どんな経験も自分のためになるよ。残りの旅は楽しみなよ。」と言ってくれたMさんの優しさが身に沁みたな〜。
Mさんが「まどかちゃんが、何をやるかよりもどう生きたいか」というような話をしてくれて、なぜかアンパンマンマーチの「なんのために生まれて なにをして生きるのか こたえられないなんて そんなのはいやだ!」という歌詞がふと浮かびました。Mさんや初海外一人旅計画に協力してくれた人たちのおかげで、「自分はどう生きたいのか」を初めて意識することになった、結果的にすごくいい旅になったのでした。
ちょっと話は変わりますが、ひょんなことから演技活動を少ししました。
初舞台で共演した役者さんが時代劇の舞台に出演されたので観に行く機会がありました。その役者さんは日本舞踊を習っていて、着物姿の立ち居振る舞いがとても美しかったんです。衝撃を受けた私は、演技活動に役立てばと思い、日本舞踊を習い始めました。
結局日本舞踊は3年くらいしか習っていませんが、稽古の時は浴衣や着物を自分で着て踊るので、先生や生徒さんに教えてもらい、自分で着物を着れるようになりました。
日本舞踊は流派がいろいろあり、それによって踊りの特徴も違うそうです。私が習っていたのは、細川流という東京深川から発祥した流派でした。初代が戦後人々を元気付けたいという思いから発足され、皆が手を取り合って生きていかなくてはいけない時に必要な踊りをと、楽しい盆踊りや民謡踊りを大切にされてきた精神が流れています。
そして私に教えて下さった先生も、深川生まれ深川育ちの江戸っ子でさっぱりと明るく、楽しいことが大好きな方で、着物を着付けるというより、着替えるという気楽さを教えて下さいました。そのおかげで、着物に対して堅苦しく考えず、楽しくて踊りだしたくなるもの!というイメージがつきました。
余談ですが、実際「バハマママ」というディスコソングが盆踊りの曲目としてあるんです。実は、盆踊りとディスコソングって相性がいいんですよ!YouTubeで検索してみてください♪
私は、着物というシンプルなパターンに無限の表現がある美しさや、柄と柄、色と色を自由に合わせる楽しさ、季節を先取りして帯に描かれてある絵柄を選ぶ遊び心、現代のオシャレとも相性がいい自由さ、もうもう着物が大好きになりました。
西洋文化に憧れていた私は、こんなに素晴らしいものが日本にあったんだと衝撃を受けました。
日本舞踊の稽古に通う生徒さんに、裏千家のお茶の師範を持っている方がいて、日本文化に興味を持ち始めた私は、お茶も習い始めました。
最初は、手順が細かすぎて多すぎて覚えられなさすぎて正座しすぎて足痺れすぎて、お菓子だけが楽しみでした♪
正直、細かさに「めんどくせえ〜うお〜帰りたい〜!」と何回も思いました。でも、だんだん分かってくるんです。この細かい作業は全て繋がっていると。お茶の動作一つ一つは効率的に、そして美しく見えるようになっていて、それらは全てもてなす人のためにあると分かった時感動しました。
世界中で100年以上続く会社は日本が一番多いと聞いたことがありますが、そういうこともこのお茶の精神から納得です。
日本舞踊を始めてからは、西洋文化も素敵だと思うけど憧れなくなりました。
のちに、歴史の裏側を知ったり、調べたり、自分を知ると、何で憧れたかが分かったんですが、日本精神の当たり前の感覚って実はありがたいんだなと気付きました。
よく日本人はYESかNOかハッキリしないといいますが、白か黒だけではない、白も黒も、その間もいいよねという、あいまいさを受け入れるスペースを持っているからなんじゃないかと思います。このあいまいさを受け入れる懐があるところも日本文化のひとつだと私は思います。それは、今後の世界に必要な要素の一つだったりして。
国籍やDNAだけのルーツではなく、自分だけのルーツを知るって大切ですね。
うん数年前の私には、パリのモデル事務所のマネージャーに「あなたの写真には、あなたが写っていない」と言われた意味が理解できませんでしたが、今なら分かります。それは、自分のルーツを知らず、世界全体に渦巻く大きな波に流されて生きていた私に会って感じた言葉だったんだと思います。
世界中の人が自分の内側と繋がって生きれたら、世界中がパラダイスですよね。
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